パソコンの電源ユニットの選び方を解説 | 各種規格の違いや選ぶ際のポイントを紹介

公開日 2025/11/21 更新日 2025/11/21

監修者・著者名 シー・エフ・デー販売


電源ユニットは、パソコンの安定動作に欠かせない重要なパーツです。この記事ではATX・SFX・TFX といった各種規格の違いから、電源容量や80 PLUS認証、プラグイン対応まで、初心者にもわかりやすく詳しく解説します。適切な電源ユニット選びで、安定したPC環境を構築しましょう。

目次


電源ユニットとは?


電源ユニットは、家庭用コンセントの交流電源をパソコンの各パーツが利用できる直流電源に変換する重要なパーツです。100Vの交流電源を+12V、+5V、+3.3Vといった形で各パーツに適した直流電源に変換して供給します。

電力の供給対象はマザーボード、CPU、GPU、ストレージなどパソコン内のほぼすべてのパーツです。そのためパソコンの安定動作に欠かせない存在といえるでしょう。


・電源ユニットの重要性


高性能なCPUやGPUの性能を最大限に発揮させるためには、適切な電力供給が欠かせません。電源ユニットの容量不足や品質不良は、システムの不安定動作や強制終了など不具合の原因となります。

さらに、電力変動や過電流から各パーツを保護する役割もあるため、パソコン全体の安定性と寿命にも大きく影響しています。


電源ユニットの主な規格


      
ATX
SFX/SFX-L
TFX

電源ユニットの規格は、物理的なサイズや形状、機能などを標準化したものです。規格を間違えるとPCケースに入らない、ネジ穴が合わないなどの問題が発生してしまいます。

自作PC向けでは、一般的なデスクトップPCに広く使われるATXと、小型PC向けのSFX / SFX-Lが主流です。PCケースの大きさや用途に合わせて、適合する規格を選ぶ必要があります。


・ATX


ATX規格は一般的なデスクトップPCで最も普及している電源ユニットの規格です。豊富な製品ラインナップから容量や機能、価格帯に応じて選択肢が多いのが特徴といえます。

代表的なサイズは幅150mm×奥行き140mm×高さ86mmですが、実際には製品ごとに寸法が異なります。大容量モデルなど製品によっては奥行きが140mmを超える場合や、幅がやや大きくなる場合もあります。そのため 、お使いのPCケースに適合するサイズか必ず確認しましょう。


【ポイント】
ミドルタワーやフルタワーなど、大型PCケースの多くがATX規格に対応している。
ただし、同じATX規格でも電源ごとにサイズは異なるため、ケースの仕様と照らし合わせて選ぶ必要がある。

・SFX/SFX-L


SFX規格は小型PCケースや省スペースパソコン向けに設計されたコンパクトな電源規格です。基本サイズは幅125mm×奥行き100mm×高さ63.5mmでATXより一回り小さくなっています。

SFX-L規格はSFX規格よりも奥行きが30mm長く、より大きなファンや高容量化が可能な規格です。限られた設置スペースでも、より高い処理能力を備えたPCを組みたい場合に有効な選択肢となります。


【ポイント】
SFXは省スペース性を重視する場合に、SFX-Lは静音性や電源容量を強化したい場合に適している。
どちらも使用環境やPCケースの大きさに合わせて選ぶ必要がある。
限られたスペースに高性能なPCを構築したい場合に選択肢となる。

・TFX


TFX規格は、主にスリム型PCや特定のメーカー製のPCで採用される規格です。ATX規格よりも小さいサイズで、電源容量が少ない傾向があります。

標準的なサイズは幅85mm×奥行き175mm×高さ65mmです。特定のPCケースやメーカー製パソコンでの採用が多く、自作PCで使用される機会は少ない規格といえるでしょう。

【ポイント】
スリムPCケースのような物理的な制約がある自作PCに用いられる。

【基本】 電源ユニットの選び方


電源ユニットを選ぶときには、PCケースにきちんと収まるか、必要なケーブルが揃っているか、電源容量が足りているかといった要素で選ぶのが基本です。PCケースや構成するパーツとの適合性をしっかり確認して、適した製品を選びましょう。


・サイズ(奥行き)


PCケースの対応電源規格だけでなく、実際の奥行きサイズも必ず確認する必要があります。余ったケーブルを収納するスペースも考慮して、余裕のあるサイズを選ぶとよいでしょう。

とくに高容量や多機能モデルは内部部品が多く、奥行きが長くなる傾向にあるため注意が必要です。


・ケーブルの種類、本数


マザーボード用は24ピン、CPU用は8ピンといったように、用途別にケーブルのピン数が分かれています。そのため構成するパーツに応じて、必要なコネクターの種類と本数を事前に確認しておく必要があります。

とくにハイエンドGPUは、複数のPCIe電源コネクターが必要になるため注意が必要でしょう。
以下はATX電源の場合によく搭載されている端子です。


24/20ピン メインATX電源コネクター

マザーボードに電力を供給するメインコネクターです。すべてのATX電源に必須で搭載されており、PCの基本動作に欠かせません。

8ピン/4ピン ATX12V/EPS12V 電源コネクター

CPUに電力を供給するコネクターです。現在は8ピンが標準となっており、マザーボードによっては8ピン+4ピンや8ピン×2といった構成が必要になる場合もあります。

6+2ピン PCI Express電源コネクター

グラフィックカードに電力を供給するコネクターです。6ピンと8ピンの両方に対応できる分離式設計で、幅広いGPUに柔軟に対応できます。

16ピン 12V-2x6(12VHPWR) 電源コネクター

最新の高性能GPU向けに開発された新規格のコネクターです。従来の複数ケーブルに比べて1本で大容量電力を供給でき、配線がすっきりします。

SATA電源コネクター

SSDやHDDなどのストレージデバイスに電力を供給します。複数のドライブを接続できるよう、1つの電源ユニットに複数搭載されています。


・電源容量


システム全体の最大消費電力に対して1.5〜2倍の容量を選ぶのが理想的とされています。容量不足はシステムが不安定になる原因となるため、余裕をもった容量を選択しましょう。一般的に、使用電源容量が電源ユニット容量の50%前後になるように選ぶと変換効率が良好だとされています。

エントリークラスは400~500W、ミドルクラスは600~800W、ハイエンドは1000W以上が目安です。CPUとGPUが消費電力の大部分を占めるため、これらの仕様を基準に容量を決定するとよいでしょう。

さらに、将来的にパーツをアップグレードすることも考慮して、余裕のある容量を選択するのがおすすめです。


【注意点】
電源用量が総消費電力よりあまりにオーバーしていると負荷率が下がり、変換効率が下がります。
そのため、総消費電力の1.5~2倍の電源用量が適切だとされています。

【より深く知ろう!】電源ユニットの選び方


80 PLUS認証
プラグイン対応
冷却方式の仕様
保証期間
ブランド

ここでは、電源ユニットを比較検討していくうえで注目したい性能について解説します。目的や用途に応じた適切な製品を選ぶためにも、チェックしておきましょう。


・80 PLUS認証


                              
負荷率に対する変換効率 (115V)
80 PLUS® グレード 20%負荷時 50%負荷時 100%負荷時
80 PLUS 80% 80% 80%
80 PLUS Bronze 82% 85% 82%
80 PLUS Silver 85% 88% 85%
80 PLUS Gold 87% 90% 87%
80 PLUS Platinum 90% 92% 89%
80 PLUS Titanium 90% 92% 94%
CLEAResult「80 PLUS Program Details 」を基に執筆者作成

80 PLUS認証とは、電源ユニットの変換効率が80%以上であることを保証する規格です。効率の低い方から「Standard → Bronze → Silver → Gold → Platinum → Titanium」の順でランクが上がります。

高効率な電源は発熱が少なく電気代の節約につながるほか、部品の劣化を抑えて製品寿命を延ばす効果もあり、長期的なメリットが大きいといえるでしょう。上位ほど高価なので、目的 と予算に応じた認証のものを選択することが重要です。

また、電力変換効率に加えて静音性も評価する「Cybenetics認証」のみを採用している場合もあります。


・プラグイン対応


                                      
プラグイン方式 仕様 メリット デメリット
フルプラグイン(フルモジュラー) すべてのケーブルが本体から取り外し可能 ・ケーブルマネジメントが容易
・不要なケーブルがないためエアフローを確保しやすい
・必要なケーブルだけを着脱できるため、メンテナンス時の作業が容易
・接続には注意が必要
・高価な傾向にある
セミプラグイン(セミモジュラー) 一部のケーブル(主に24ピンATX電源やCPU用8ピンケーブル)が本体に固定 ・ケーブルマネジメントが容易
・不要なケーブルがないためエアフローを確保しやすい
・フルプラグインに比べて安価な傾向にある
・接続には注意が必要
・直付けタイプと比べて高価な傾向にある
直付け(ノンモジュラー) すべてのケーブルが電源ユニット本体に固定 ・手頃な価格帯の製品が多い ・使わないケーブルをPCケース内でまとめておく必要があり、エアフローの妨げになりやすい
・ケーブルの着脱や増減ができないためカスタマイズ性はない

プラグイン対応は必要なケーブルのみを接続できる着脱式ケーブルの機能です。プラグインに対応していれば、組み立てやメンテナンス時に邪魔なケーブルがなくなり、作業しやすくなるでしょう。また、不要なケーブルを取り外せるため、PCケース内をスッキリさせエアフローが向上する点も魅力です。

プラグイン対応はケーブルの接続箇所が増えるため、取り付け時は電源ユニットの対応ポートに奥までしっかり差し込みましょう。


・冷却方式の仕様


              
ファンの仕様 メリット デメリット
常時回転ファン ・手頃な価格帯の製品が多い
・ファンコントロール機能が搭載されている場合、低出力時は回転数が抑えられ、静かに動作
・発熱の大きい部品を使った製品が多く、80PLUSは低ランクになりやすい
・ファンコントロール機能が搭載されていない場合、ノイズレベルが高い傾向にある
セミファンレス ・低出力時はファンが停止し、ほぼ無音で動作
・発熱の少ない高品質な部品を使っている製品が多い
・常時回転ファン採用モデルに比べて価格が高い傾向にある
ファンレス ・ファンの音がしない
・ファンの故障の心配がない
・製品数が非常に少なく、高価 になる傾向がある
・PCケース内のエアフロー設計が重要

電源ユニットは発熱が大きいパーツのため、ほとんどの製品に冷却用のファンが搭載されています。口径の大きなファンほど低回転でも十分な風量を確保でき、静音性に優れる傾向があります。

主流は120mmファンで、狭い通路やラジエーターなど静圧が必要な場所でも安定した冷却が可能です。一方、140mmファンは同じ風量をより低い回転数で送れるため静音性が高く、広いケースや静音志向の構成に適しています。

また、セミファンレス機能付きなら低負荷時にファンが停止するため、低負荷時の静音性に優れています。ファンレス電源は冷却ファンを搭載せず、大型のヒートシンクで放熱処理を行うため完全無音での動作が可能ですが、PCケース内のエアフローに十分配慮する必要があります。


・保証期間


            
保証期間 メリット デメリット
2年以下 ・価格が安い傾向にある
・エントリーモデルに多く選択肢が豊富
・低価格なパーツ構成による耐久性の懸念
3~7年 ・品質と価格のバランスが良い
・ミドルクラス以上の製品に多い
・エントリーモデルより価格が高い
10年以上 ・メーカーの品質への自信の表れ
・長期間安心して使用できる
・高品質な部品を使用している証拠
・高価格帯の製品が中心

電源ユニットの保証期間は製品の品質や信頼性を判断する重要な指標の一つです。一般的に3年から10年まで幅広く設定されており、保証期間が長いほどメーカーが製品の耐久性に自信を持っていることを示しています。

高品質な電源ユニットは7年以上の長期保証が付くことが多く、内部部品にコストをかけて設計されているため故障率が低い傾向にあります。一方、短期保証の製品でも日常使用には十分な場合もあるため、使用期間や予算と照らし合わせて適切な保証期間を選択しましょう。


・主なブランド


メーカー 主な冷却機能
玄人志向 ・120mm〜135mmファン搭載
・セミファンレス機能搭載モデルあり
・大口径ファンで静音性重視
Thermaltake ・120mm〜140mmファン搭載
・RGB LEDファン搭載モデルあり
・セミファンレス機能搭載モデルあり
・ファン回転数制御機能
MSI ・140mm流体軸受ファン搭載
・静音設計
・低負荷時の回転数制御
Corsair ・120mm〜140mmファン搭載
・セミファンレス機能搭載モデル多数
・高品質ファンで静音性重視
ASRock ・120mmファン搭載
・Cybenetics認証取得モデルあり
(静音性と効率を評価)
COUGAR ・120mm〜135mmファン搭載
・HDB(ハイドロダイナミックベアリング)ファン採用
・独自設計の静音ファン
ANTEC ・120mm〜135mm自動回転数制御ファン
・HYBRID MODE(セミファンレス)機能搭載モデルあり
・PWMファン採用で細かい回転数制御
ASUS ・135mmファン搭載
・デュアルボールベアリングファン
・Axial-techファン採用(ROGシリーズ)
・低騒音設計

電源ユニットのブランド選択は品質の安定性やアフターサポートに大きく影響します。老舗メーカーや総合PCパーツメーカーは技術力が高く信頼性に優れていますが、価格が高めに設定されていることが多く、初心者には敷居が高い場合があります。

一方、玄人志向は、国内代理店のCFD販売が展開するブランドで、コストパフォーマンスに優れた製品を展開しています。PC業界で権威あるBCN AWARDのPC電源部門において2012年から2025年まで14年連続で1位を獲得しており、国内サポートが受けられるため、初めての自作PCにも適しています。


おすすめの電源ユニット4選


電源ユニットはさまざまな種類があり、どれにすればよいか悩んでしまうこともあるでしょう。ここでは、おすすめの電源ユニットを厳選して紹介するので、ぜひ参考にしてください。


・KRPW-PK1000W/92+【80Plus Platinum 1000W フルプラグイン】

KRPW-PK1000W/92+ | 玄人志向 80PLUS PLATINUM ATX電源 KRPW-PK シリーズ 1000W

メーカー 玄人志向
電源容量 1000 W
80Plus認証 Platinum
本体寸法 160 x 150 x 86 mm
おすすめポイント ・80plus最高クラスのPlatinum認証で高効率&長寿命
・フルプラグインフラットタイプで、ケーブルの取り回しもスッキリ
・高品質高耐久の日本メーカー製コンデンサ採用で安心
・大型13.5cmファンとセミファンレス機能で冷却&静音もバッチリ
・長期5年保証

・KRPW-GA850W/90+/WHITE【80Plus Gold 850W フルプラグイン】

KRPW-GA850W/90+/WHITE | 玄人志向 80PLUS GOLD ゲーミングPC向け ATX電源 850W ホワイトカラー

メーカー 玄人志向
電源容量 850 W
80Plus認証 Gold
本体寸法 150 x 150 x 86 mm
おすすめポイント ・80plusハイクラスのGold認証で高効率&長寿命
・フルプラグインフラットタイプで、ケーブルの取り回しもスッキリ
・高品質高耐久の日本メーカー製コンデンサ採用で安心
・大型13.5cmファンとセミファンレス機能で冷却&静音もバッチリ
・安心の3年保証

・KRPW-AK750W/88+【80Plus Silver 750W】

KRPW-AK750W/88+ | 玄人志向 80PLUS SILVER取得 ATX電源 750W

メーカー 玄人志向
電源容量 750 W
80Plus認証 Silver
本体寸法 150 x 140 x 86 mm
おすすめポイント ・80plusミドルクラスのSilver認証
・1次側は高品質高耐久の日本メーカー製コンデンサ採用
・安心の3年保証

・KRPW-BK650W/85+【80Plus Bronze 650W プラグイン】

KRPW-BK650W/85+ | 玄人志向 80PLUS BRONZE取得 ATX電源 650W(プラグインタイプ)

メーカー 玄人志向
電源容量 650 W
80Plus認証 Bronze
本体寸法 150 x 140 x 86 mm
おすすめポイント ・80plusエントリークラスのBronze認証
・プラグインフラットタイプで、ケーブルの取り回しもスッキリ
・高品質高耐久の日本メーカー製コンデンサ採用で安心
・安心の3年保証

電源ユニットに関するよくある質問


パソコンの電源ユニットをどれにしようか検討していくうえで、選び方や取り扱いについて疑問を持つ方もいるかもしれません。ここでは、電源ユニットに関するよくある質問にお答えします。


Q.電源ユニットの交換は自分でできる?


A.基本的なパソコンの知識があれば自分で交換可能です。
ただし、各ケーブルの接続や配線に注意が必要で、不安な場合は専門業者に依頼することをおすすめします。作業前には交換方法をよく確認し、必ず電源を切り、コンセントから抜いて安全を確保しましょう。



Q.使用しているパソコンの電源ユニットを確認する方法は?


A.デスクトップPCの場合、サイドパネルを開けて電源ユニットの側面に貼られているラベルで確認できます。
ノートPCやメーカー製PCの場合は、メーカーの仕様書やマニュアルで確認するか、メーカーサポートに問い合わせると確実でしょう。


パソコンが安定して動作するためにも適切な電源ユニット選びを


電源ユニットはパソコンの安定動作に欠かせない重要なパーツです。適切な電源ユニットを選ぶことで、大切なパソコンをトラブルから守り、性能を最大限に引き出せるでしょう。規格やサイズが適しているか、スペックが用途に合っているかを確認してから、電源ユニットを選びましょう。

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