簡易水冷と本格水冷の違いとは?失敗しない選び方と注意点を解説
更新日 2025/12/22 公開日 2025/12/22
監修者・著者名 シー・エフ・デー販売
ゲーミングPCや動画編集用PCを組むとき、CPUやGPUの冷却方式は性能を大きく左右します。とくに「簡易水冷」と「本格水冷」は見た目も似ているため違いが分かりにくく、どちらを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。本記事では、簡易水冷と本格水冷の違いを整理し、選び方を解説します。
目次
水冷PCとは?
水冷PCは、水冷ユニットを搭載してCPUやGPUを冷却するパソコンを指します。
この方式の大きな特長は、高い冷却性能と静音性を両立できる点です。水冷式は一般的な空冷式よりも高い冷却能力が期待でき、CPUに高負荷がかかる作業やオーバークロック時でも、PCの安定動作を実現できるでしょう。
ラジエーターを冷却するファンの回転数を低く抑えても冷却効果が期待できるため 、静音性に優れたPC環境を構築できるというメリットもあります。
水冷ユニットの基本構成と冷却の仕組み
| ・ヘッド:CPUに密着して熱を吸収しクーラントに伝導する ・ポンプ:クーラントを水冷ユニット内で循環させる ・ラジエーター:熱を吸収したクーラントから外部に放熱する ・チューブ:各パーツを接続してクーラントの循環経路を形成する ・クーラント:CPUの熱を吸収して運搬する冷却液 |
水冷ユニットは、ヘッド、ポンプ、ラジエーター、チューブ、クーラントの5つの主要パーツで構成されています。CPUの発熱をヘッドが吸収してクーラントに熱を伝導し、高温になったクーラントがチューブを通ってラジエーターに送られる仕組みです。
ラジエーターで、ファンによる強制対流により外部空気との間で効率的な熱交換が行われ、クーラントが冷却されます。冷却されたクーラントがポンプによって再びヘッドに送り返さるという循環を繰り返し、CPUを継続的に冷却しているのです。
簡易水冷と本格水冷の仕組みの違い
| 項目 | 簡易水冷 | 本格水冷 |
|---|---|---|
| 構造 | 一体型 | 独立パーツ構成 |
| ポンプ位置 | ポンプヘッドと一体化 | 独立したパーツ |
| リザーバータンク | なし | あり |
| 密閉性 | 完全密閉 | 開放系 |
| 価格帯 | 比較的安価 | 高価 |
簡易水冷と本格水冷の最大の違いは、構造とカスタマイズ性にあります。
簡易水冷は一体型でポンプがポンプヘッドと組み合わされており、密閉構造でメンテナンスフリーである点が特徴です。さらに、別々にパーツを買いそろえる必要がなく、保証やサポートを一括で受けられるというメリットもあります。カスタマイズ性が低い反面、組み立て難易度が低く水冷初心者でも扱いやすいでしょう。
一方、本格水冷はポンプヘッド、ポンプ、リザーバータンク、ラジエーターが独立したパーツで構成されます。リザーバータンクや大型ラジエーターを組み合わせることでクーラントの量を増やしやすく、その分システム全体の熱容量を大きくしやすい構造です。また、高い拡張性により、CPUとGPUを一括で冷却するなど、より大規模な冷却システムを構築可能な点も魅力です。
簡易水冷か本格水冷かを選ぶ際の観点
| 項目 | 簡易水冷 | 本格水冷 |
|---|---|---|
| メンテナンス | 基本不要 | 定期的に必要 |
| 寿命 | 3~5年 | 5年以上(パーツ交換可) |
| 設置難易度 | パーツが一体で容易 | 個別にパーツを組み上げるため難しい |
| 価格帯 | 1~3万円 | 5~10万円以上 |
| 拡張性・カスタマイズ性 | 限定的(主にCPUやGPU単体の冷却のみ) | 高い(CPUとGPUを一括で冷却する構成なども可能) |
| デザイン性 | メーカー既定のデザイン | 配管やクーラント色、ライティングまで自由に構成できる |
簡易水冷と本格水冷を選ぶ際は、メンテナンス性、寿命、設置難易度、価格に加えて、「どこまで冷却性能を追求したいか」、「どれだけカスタマイズやデザインにこだわりたいか」といった観点から検討する必要があります。手軽さとコストを重視するなら簡易水冷、最高レベルの冷却性能や見た目へのこだわりを優先するなら本格水冷が有力な選択肢になります。
・メンテナンス方法
簡易水冷は、メンテナンスフリーを謳う製品が多く存在します。そのため、基本的に水漏れチェック以外は作業が不要である点が大きなメリットです。本格水冷に必要な知識・経験に不安がある初心者や、メンテナンスの手間を減らしたい人に向いているでしょう。
本格水冷は、定期的なクーラントの補充と水位の確認が必要になります。蒸発によるクーラントの減少に対応しなければならないため手間はかかりますが、そのぶん自分で状態を把握しながらベストな冷却環境を維持できるのが特徴です。
・寿命の長さ
簡易水冷の寿命は、一般的に5年から7年程度とされています。密閉構造のため修理は困難であり、ポンプ故障などにより冷却効率が低下した場合には、ユニット全体を買い替えるのが一般的です。
本格水冷は、ポンプやラジエーター、ブロックなどをパーツ単位で交換・アップグレードできます。適切な管理とメンテナンスを行うことで、5年以上の長期使用が期待できるうえ、CPUやGPUを世代交代させながら同じ水冷ループを使い続けるといった運用も可能です。
・設置難易度
簡易水冷は、必要なパーツがすべて揃った一体型構造であるため、ラジエーターやファンの取り付け、電源ケーブルの接続といった基本的な作業で設置できます。配管作業や接続部の水漏れ対策が不要な分、本格水冷に比べれば設置は圧倒的に容易であり、水冷初心者でも扱いやすいでしょう。
本格水冷は、個別のPCパーツを自分で選んで組み上げる必要があります。高いカスタマイズ性を持つ分、配管作業や接続部の水漏れ対策といった専門知識と手間が求められるため、上級者向けです。ただし、その分だけ「自分だけの1台を作り上げる楽しさ」があり、完成したときの達成感や所有満足度は本格水冷ならではの魅力といえます。
・価格帯
簡易水冷は、必要なパーツが一体化しているため、比較的安価な価格帯から購入できます。具体的な相場としては、1万円から3万円程度の製品が主流です。ハイエンド空冷クーラーと比べても手の届きやすい価格帯で、コストパフォーマンスに優れています。
本格水冷は、個別のパーツをすべて揃える必要があるため、初期費用が簡易水冷よりも高額になる傾向があります。基本的なパーツを揃えるだけでも5万円から10万円以上の費用がかかることが一般的です。一方で、一度環境を構築してしまえば、CPUやGPUのアップグレード時にも水冷ループを流用しやすく、長期的にハイエンド環境を維持したいユーザーにとっては納得感のある投資といえます。
簡易水冷と本格水冷、自分に合うのはどちら?
| 簡易水冷が向いている人 | 本格水冷が向いている人 |
|---|---|
| □ メンテナンスの手間を省きたい □ コストパフォーマンス重視 □ 手軽に冷却性能を向上させたい □ 設置作業に不安がある |
□ 最高レベルの冷却性能を追求 □ 外観・ライティングにこだわり □ カスタマイズ性と拡張性を重視 □ 長期的なパーツ使い回しを考慮 |
・簡易水冷が向いている人
簡易水冷は、コストパフォーマンスを重視し、手軽に静音性と冷却性能を向上させたいという方に最適な選択肢です。設置が簡単で取り付け作業に不安がある方や、PCケースのスペースが限られている環境でも、ラジエーターを取り付けるスペースさえ確保できれば導入しやすいでしょう。
手軽さとメンテナンスフリーという特性から、水冷初心者はもちろん、メンテナンスや設置の時間を省きたい上級者にも選ばれている選択肢です。
・本格水冷が向いている人
本格水冷は、自作PC経験が豊富で、最高レベルの冷却性能と静音性を追求したい上級者に適しています。
パソコンの外観やライティングにこだわり、カスタマイズ性と拡張性を重視したい場合にもおすすめです。また、パーツ単位での交換が可能であるため、長期的にパーツを使い回しながら理想的な冷却環境を構築したい方にとっては大きな魅力となります。
簡易水冷のおすすめCPUクーラー6選
ラジエーターサイズやLEDの有無、本体カラーなど様々な水冷CPUクーラーをご紹介します。初心者から中級者まで幅広いユーザーに対応した製品となっています。
・KURO-AIOWC360L/V2【ラジエーター360mm LED搭載 ブラック】
KURO-AIOWC360L/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 360mm LED有り
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 394 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x3 (ARGB LED対応) |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・ゲーミングPCをカラフルに彩るアドレッサブルRGB LED搭載 ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
・KURO-AIOWC360/V2【ラジエーター360mm ブラック】
KURO-AIOWC360/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 360mm LED無し
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 394 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x3 |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・シックなLED非搭載モデル ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
・KURO-AIOWC240L/V2【ラジエーター240mm LED搭載 ブラック】
KURO-AIOWC240L/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 240mm LED有り
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 274 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x2 (ARGB LED対応) |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・ゲーミングPCをカラフルに彩るアドレッサブルRGB LED搭載 ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
・KURO-AIOWC240/V2【ラジエーター240mm ブラック】
KURO-AIOWC240/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 240mm LED無し
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 274 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x2 |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・シックなLED非搭載モデル ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
・KURO-AIOWC360L/V2/WHITE【ラジエーター360mm LED搭載 ホワイト】
KURO-AIOWC360L/V2/WHITE | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 360mm LED有り ホワイトカラー
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 394 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x3 (ARGB LED対応) |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・ゲーミングPCをカラフルに彩るアドレッサブルRGB LED搭載 ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
・KURO-AIOWC240L/V2/WHITE【ラジエーター240mm LED搭載 ブラック】
KURO-AIOWC240L/V2/WHITE | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 240mm LED有り ホワイトカラー
| メーカー | 玄人志向 |
|---|---|
| 対応CPUソケット | AMD:AM4、AM5 Intel:LGA 115x、1200、1700、1851 |
| ラジエーター寸法 | 120 x 274 x 27 mm |
| 冷却ファン | 120mm x2 (ARGB LED対応) |
| ポンプ回転数 | 3600 rpm ±300rpm |
| おすすめポイント | ・水冷による優れた放熱性能 ・ゲーミングPCをカラフルに彩るアドレッサブルRGB LED搭載 ・ラジエーターや水冷ポンプには大手メーカーASETEK社製品を採用 ・安心の3年保証 |
簡易水冷と本格水冷の違いに関するよくある質問
ここでは、簡易水冷と本格水冷の選択でよく寄せられる疑問にお答えします。購入前の不安を解消して、最適な冷却システムを選択しましょう。
Q.冷却性能にはどれくらいの差がある?
A. ラジエーターの面積やファンの性能が同じであれば、簡易水冷と本格水冷の冷却性能に大きな差はありません。ただし、本格水冷の大きなメリットは拡張性にあります。
ラジエーターを複数設置することでクーラント全体の温度を効率的に下げられるため、結果としてCPUやGPUをより冷たく保つことが可能です。また、ラジエーターの総表面積が増えるほど、同じ騒音でもより低温に、同じ温度ならより低騒音にできます。
Q.導入にかかる費用はどのくらい違う?
A.簡易水冷は1万円台から3万円程度で導入できますが、本格水冷は最低でも5万円以上、本格的な構成では10万円を超える場合があります。
ただし、本格水冷はパーツ単位での交換により長期使用が可能です。
最適な水冷システムで理想のPC環境を構築しよう
簡易水冷と本格水冷は、それぞれメンテナンス性、寿命、設置難易度において明確な特徴があります。初心者や手軽さを重視する場合は簡易水冷、上級者で最高性能とカスタマイズ性を求める場合は本格水冷を選択するのが賢明でしょう。自分の技術レベル、予算、求める性能を総合的に考慮して、理想的な冷却環境を構築してください。
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