更新日 2025/12/22　公開日 2025/12/22

監修者・著者名 シー・エフ・デー販売

CPUの冷却性能を上げるためには、CPUクーラーの交換が大切です。しかし、CPU周りの作業のため、不安に思うこともあるでしょう。この記事では、CPUクーラーの交換方法を準備物から取り付け手順まで詳しく解説します。交換時期の目安や製品の選び方も紹介するので、新しいCPUクーラー探しの参考にしてください。

目次

CPUクーラーとは？

CPUクーラーは、パソコンのCPUを効率的に冷却してシステムを安定動作させるために必要な装置です。

CPUはCPUクーラーを使うことで通常使用時は40から50℃に、高度なデータ処理時には70から80℃まで温度が上昇します。高温状態が長時間続くと性能低下や予期せぬシャットダウン、システムの不安定化が発生するため、CPUクーラーは不可欠といえるでしょう。

・CPUクーラーの種類

空冷CPUクーラー

水冷CPUクーラー(簡易水冷)

CPUクーラーには、冷却方式によって大きく分けて空冷式と水冷式の2種類があります。

空冷式は、ファンで風を送り込んでヒートシンクを冷却する、最も一般的な方式です。構造がシンプルで価格も手頃、メンテナンスもほとんど不要なため、初心者から上級者まで幅広く使われています。

水冷式は、冷却液を循環させてCPUの熱を逃がす方式で、高い冷却性能と静音性が特徴です。水冷式はさらに簡易水冷と本格水冷の2つのタイプに分かれます。

簡易水冷は、ラジエーター（放熱器）、ポンプ、チューブなどが一体化されており、組み立てが簡単で初心者でも扱いやすいタイプです。メンテナンスもほとんど不要で、空冷よりも高い冷却性能を求める方に適しています。

本格水冷は、ラジエーター、ポンプ、リザーバー（冷却液タンク）、チューブなどを個別に選んでカスタマイズできるタイプです。高い拡張性があり、大規模な冷却システムを構築できますが、組み立ての難易度が高く、定期的な冷却液の交換などメンテナンスが必要で上級者向けの選択肢といえるでしょう

・CPUクーラーの寿命と交換が必要になるタイミング

CPUクーラーは基本的に故障するまで使い続けられるパーツですが、種類によって寿命の長さが異なります。

一般的に、水冷式CPUクーラーの寿命は3年から5年程度とされています。一方、空冷式CPUクーラーは水冷式より寿命が長く、使用状況によっては10年以上使えることもあるのが特徴です。

交換が必要になるのは、異音が発生したり、冷却性能が明らかに低下してCPU温度が高温になったりした場合です。製品を選ぶ際は、メーカー保証期間やレビュー実績を参考にするとよいでしょう。

交換先のCPUクーラーを選ぶためのチェックポイント

CPUクーラーを選ぶ際は、複数の要素を総合的に判断する必要があります。適切な選択により、システムの安定性と快適性を両立できるでしょう。

・冷却方式

CPUクーラーの冷却方式には、前述の通り空冷式と水冷式があります。冷却方式の選択は、求める性能とメンテナンス性のバランスを考慮して決定しましょう。

空冷式はファンで風を送り込んでCPUを冷却する一般的な方式である一方、水冷式は冷却水を循環させて高い冷却性能を発揮し、静音性に優れています。

ただし、水冷式は費用が高くなる傾向があり、とくに本格水冷の場合は定期メンテナンスが必要な点に注意が必要です。

・ソケットの形状

CPUクーラーを選ぶ際には、マザーボードに搭載されているソケット形状への互換性を確認することが大切です。

マザーボードのソケット形状（例：Intel LGA1700やAMD AM4/AM5など）に対応した製品を選ばなければ、物理的にクーラーを取り付けることができません。

そのため、自分のPCのマザーボードを必ず確認し、搭載されているソケットの種類を事前に把握しておきましょう。

・ CPUクーラーのサイズ

CPUクーラーのサイズの適合性は、実際の取り付け可否を左右する要素です。

CPUクーラーが大きすぎると他のパーツに干渉して取り付けできない場合があります。PCケースの仕様書に記載された「CPUクーラー最大対応高さ（例：165mm）」を事前に確認しましょう。

水冷の場合は、ラジエーターサイズ（120mm、240mmなど）がPCケースの対応範囲内かもあわせて確認してください。

CPUクーラーの交換前に準備する物

CPUクーラーの交換作業を成功させるためには、事前に準備物を揃えることが大切です。

交換作業においては、静電気対策と適切な工具の準備が欠かせません。作業中は、パソコンの故障を防ぐためにも、必ず静電気対策を行いましょう。また、クーラーの取り外し・取り付けを行う際、ソケット内にゴミや異物が入らないよう細心の注意を払い、慎重に扱う必要があります。

新しいクーラーを取り付ける際、グリスを均等に塗り広げたい場合にはヘラがあると便利です。もし専用品がなければ、薄いプラスチックカードなどでも代用できます。

CPUクーラーの固定方式はメーカーや型番によって異なるため、トラブルを避けるためにメーカーの説明書で事前に取り外し方法を必ず確認しておきましょう。

CPUクーラーの交換方法

ここでは、空冷式CPUクーラーの交換方法を解説します。正しい手順での作業により、安全にCPUクーラーの交換が可能です。取り外しから取り付けまでの各ステップを慎重に実行しましょう。

なお、簡易水冷クーラーの取り付けについては、玄人志向が公開している参考動画で分かりやすく解説しているので、そちらをご覧ください。

・CPUクーラーの取り外し方

CPUクーラーを取り外す際は注意が必要です。とくに、CPUカバー（リテンションブラケット）のない古いタイプのCPUソケットでは、CPUがソケットから外れる「スッポン抜け」という現象が起こる可能性があります。ただし、CPUカバーのあるCPUソケットであれば、スッポン抜けの心配はありません。

グリスが固着している場合は、クーラーを軽くひねって密着を緩めてからゆっくりと取り外すようにしましょう。ただし、ひねりすぎるとCPUやソケットを傷める恐れがあるため、慎重に行ってください。

全てのピンのロックを解除した後、マザーボード裏側で黒いピンが下に引っ込んでいることを確認してから垂直に引き抜きます。

なお、取り外し方法はCPUクーラーの仕様により異なるため、必ずマニュアルを参照して正しい手順で作業してください。

・CPUクーラーの取り付け方

CPUクーラーを取り付ける際は、グリスの適切な塗布とクーラーの確実な固定が重要です。CPUグリスは、専用のヘラを使用して適量を均一に塗布します。手の指は不純物がつく恐れがあるため使用しないでください。

クーラーの固定においては、まずプッシュピンが穴に確実に入っているかを慎重に確認し、その後にピンを押し込む作業が重要です。

最後に、クーラーが確実に固定されたことを確認します。固定方法はCPUクーラーの仕様によって異なるため、必ずマニュアルに記載された確認方法に従ってください。

例えば、プッシュピン式の場合は、マザーボードの裏側から白いつめに黒いピンが正しく押し込まれていることを確認します。ネジ止め式やバックプレート式の場合は、それぞれの固定具がしっかりと締まっているかを確認しましょう。

自分での交換が難しい場合の対応方法

CPUクーラーの交換作業に技術的な不安がある場合は、専門業者への依頼が最も安全で確実な選択です。無理に自分で交換しようとすると、PCパーツを破損させてしまい、かえってより高額な費用がかかってしまう可能性があります。

自分では難しいと思ったら、PCパーツ専門店の組み立て・交換サービスに依頼するのが安全でしょう。とくに多くのPCパーツ専門店では、購入したパーツの取り付け代行サービスを提供しているため、CPUクーラー購入時にあわせて利用するのも賢明な手段です。

おすすめのCPUクーラー6選

ここでは、冷却性能、静音性、価格のバランスに優れたおすすめのCPUクーラーを厳選して6つ紹介します。製品選びの参考にしてください。

・FROZN A620 PRO SE【高性能デュアルファン】

FROZN A620 PRO SE | ID-COOLING デュアルファン搭載 空冷CPUクーラー

・FROZN A410 SE【標準モデル シングルファン】

FROZN A410 SE | ID-COOLING FROZN A410 SE シリーズ ヒートシンク＆ファン搭載 空冷CPUクーラー

・KURO-AIOWC360L/V2【ラジエーター360mm LED搭載 ブラック】

KURO-AIOWC360L/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 360mm LED有り

・KURO-AIOWC360L/V2/WHITE【ラジエーター360mm LED搭載 ホワイト】

KURO-AIOWC360L/V2/WHITE | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 360mm LED有り ホワイトカラー

・KURO-AIOWC240L/V2【ラジエーター240mm LED搭載 ブラック】

KURO-AIOWC240L/V2 | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 240mm LED有り

・KURO-AIOWC240L/V2/WHITE【ラジエーター240mm LED搭載 ブラック】

KURO-AIOWC240L/V2/WHITE | 玄人志向 簡易水冷CPUクーラー AIOWC/V2シリーズ 240mm LED有り ホワイトカラー

CPUクーラーの交換に関するよくある質問

CPUクーラーの交換で多く寄せられる質問にお答えします。安全で確実な交換作業のための参考にしてください。

Q.空冷から水冷への交換は初心者でも可能？

A.水冷式は複雑な構造で初心者には難易度が高いですが、簡易水冷なら比較的難易度が低く、丁寧な説明動画を参考にすれば初心者でも交換可能です。

不安な場合は専門業者に依頼が安全で確実でしょう。事前に取り付け手順を動画で確認し、工具や手順を把握してから作業を開始してください。

Q.CPUクーラーを交換すればCPUは速くなる？

A.CPUクーラーを交換して冷却性能を高めても、CPU自体の性能が直接向上するわけではありません。

ただし、発熱によるサーマルスロットリングを抑えて、長時間にわたって安定した性能を維持しやすくなります。CPUをオーバークロックする際にも、より高いクロック数での安定動作が期待できるでしょう。

Q.CPUクーラー交換時にグリスは必ず塗り直す必要がある？

A.グリスの塗布は熱伝導率を高めてCPUの冷却効果を最大化するために重要です。

古いグリスは清拭して新しいものに塗り直すことで、最適な冷却性能を確保できるでしょう。

正しい手順でCPUクーラーを安全に交換しよう！

CPUクーラーの交換は、適切な準備と正しい手順により安全に実行できる作業です。交換時期の見極め、製品選択のポイント、必要な工具の準備から取り外し・取り付け手順まで、各段階を慎重に進めることが成功の鍵となります。不安がある場合は無理をせず、専門業者への依頼も検討しましょう。

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